氷川きよし

去年の大晦日に話はさかのぼりますが、
紅白歌合戦でアニソンを歌った、氷川きよしさんを皆さんご覧になったでしょうか。
わたしは、あの時ものすごい衝撃を受けました。

ずん、ずんずん、ずんどこ♪き・よ・し♪
こぶしをきかせてズンドコ節を歌っていた、あの演歌界の王子が、
全く別人のビジュアル系ロックな人になっていたのですから・・・。
さらにその変身は、
一夜限りの演出なんかではなく、それが彼の本来の姿だったというのがまたまた驚きでした。

別人になってから、
クイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』を日本語カバーで歌う姿は、凄みがあって愛があって、彼の本気を感じます。
デビュー21年目にして、本当の自分がやりたかった音楽をやる。
21年かかったというより、そのくらいの年月をかけて磨きあげてきた声があるからこそ、好きな音楽を自分のものにして歌えるのだと思う。
中性的な衣装もメイクも、迷いを一切感じられない、いさぎよくて、自然で、すごくいいなあって思います。

着たい服を着て、マニキュアして、アイシャドウして、
ああ、これが自分だ・・・って思ったそう。
自分だけにわかる喜びと幸せ。
そして、自分らしく生きていくんだ、もう自分はやるんだっていう決心を感じます。

氷川きよしファンにとって、彼の変身と挑戦はどう映っているのか、いろんな意見はあるのでしょうが、
人間に生まれてきて、自分のやりたいと思うことを思い出せずに、やらずに一生を終えることは悲しいことだと思う。
だから、この変身と挑戦が彼の本当にしたい音楽だったならば、本当に良かった。

『ボヘミアン・ラプソディ』(クイーンと、そのボーカル、フレディ・マーキュリーの活躍と孤独を描いた映画)を何度も見たという方は多いようですが、
彼自身も、何度もこの映画を見て、この曲を聞いて、
フレディ・マーキュリーって、こんな思いをしたんだと思ったら、
涙が出てきたそう。

   真実なんて目には見えない
   真実なんて誰にもわからない
   ただ風が吹くだけ

という歌詞があって、
自分の真実を見つけられた人は強くもあり、優しくもあり、はたから見れば大胆不敵で時に滑稽にさえ見え、
でも、当の本人にはそんなことはどうでもいいくらい、自分で生きることの幸せを感じているのかもしれません。






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