自分をよどませないために

障害のある方が出場するアビリンピックという競技大会があります。
仕事につながるいろいろなスキルを競うもので、
物品運搬作業という種目で補佐員として参加しました。
選手の方は、指示書を見ながら、Aエリアから指示のあった物を探し、台車に積んでBエリアまで安全に運び出し、
またBエリアから指示のあった物を持ち帰って、Aエリアの所定の場所へ、使ったものを戻して完了。
指示書の読解と、台車をうまく運転し、時間内に品物を傷つけることなく運ぶというのが、
知的障害のある方には、なかなか至難の競技です(さらに緊張が加わるし)。

自分はその競技の説明をしたり、質問に答えたり、号令をかけたり、という仕事。
以前の自分だったら、即刻お断りをするような、自分からは絶対に進んではやらない仕事です。
まず、声を張り上げるというのが、喉の弱い自分にはかなりしんどいことで、
裏返ったり、気を緩めると小さくなっていたり、震えていたり、息が続かなかったりということがつらい。
それから、わかりやすく、短い言葉で、一度使った言葉と違う言葉で説明しないように等々、
選手が混乱しないようにきちんと説明するなんてとてもとても、自分には無理。
しかも、活舌わるいし噛みまくるだろうし・・・。
とパターンの言い分はずらーっと並ぶ。

でも、今回、断るという選択はなぜだかありませんでした。
やろうという心の準備があったわけでも何でもないのですが、
直感で、やった方がいいって思ってしまった。
そして、いいとは思ったけれどー、

絶対に声が大きくて、はきはきしていて、堂々としている人の方がいいに決まっている。自分なんて、ほど遠い。適さない。似合わない・・・

と心の声が再び聞こえてきます。
明らかにこれはパターンだとわかっていたので、無視、無視、だまりなさい・・・。
自分の中で自分がやるというイメージのない仕事。
そういうものをやるからこそ、前進できる・・・という積極的な気持ちよりは、
やらないと、自分が停滞したまま、いえ衰退さえしていくような危機感。
自分にとってここは分岐点なんだとその時思いました。

実際は、こんな大袈裟なことではないです。
でも、他人から見れば全然~難しくない何でもないことであっても、
人それぞれ苦手なもの(それぞれの課題)って違いますから、
今回は、今までの自分では考えられなかったことに挑戦できてほっとしています。

不思議なことに、競技がはじまってしまったら、
声が震えている、震えていますよーあなた、って思いながらも、
選手の皆さんのために、精一杯応援の気持ちを込めて、やる気スイッチを押してあげるくらいの勢いで、
結果的に、とてもその時間を楽しんでいたように思います。
帰宅後、緊張がほどけ、どっと疲れがでて倒れるように寝ました。

こうやって、自分がよどまないように、新しい風を入れながらちょっとずつ苦手と思い込んでいるものへの経験を積んでいきたいです。







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