実は奥が深かった

年をとると、子どもに戻っていく、と言われます。
口から出てくることばや、行動がとても大人とは思えないなあって、私自身も母をみていて感じることがあります。
母は80を超えていますが、この年齢になると、本当に思い通りにならないことが増えていきますよね。
体一つとってもそうだと思います。
頭で分からないことや、今までできたことができなくなったり、
一年ごとに困ることが増えているのだと思う。

大人という理性を身につけた存在を意識して動けているうちは、
体の動きは変わっても、
相手を気遣ったり、自立した行動をとったりできるのかもしれません。
周りに気を配れる状態であるということ。
それがいつしか、周りよりも、自分自身のことで精一杯になり、
今、一番困っている自分をどうにかしたいという気持ちが、ことばや行動となってあらわれているのかなあと思います。

母から、何度も同じ内容の電話がかかってきて、
「そうか、そうか、わかったよ。大丈夫だよ」
と、何回でも言ってあげられたらいいのですが・・・
自分に余裕がないとき、
同じことばであっても、気持ちがまったくこもっていないと、たぶんわかるのでしょうね、
その不安を母は手放すことができずに、何度も同じ話を繰り返して自分を落ち着かせようとしているように見えます。
わたしの返すことばや態度で、母が不安になったり安心したり。
こんなにわかりやすいと、話を聞くというやり取りをもはや適当にはできません。

わたしのそんな日常が、役に立つ?ことがありました。

相手は、何度か同じ話を困惑しながら話していました。
そのたびに、「そうじゃないですよ、本当はこうですよ」
と教えてあげること二度三度・・・
やっと話が通じたとき、側で見ていたもう一人の人が、
「よく、何回も同じ話を説明できるねー」
と、自分のようにはたんたんと話せない、と感心していました。

そうなのか、母といつもあたり前にしていることってこういうことか。
このやりとりって、確かにはじめの頃より、腹を立てずに落ちついて繰り返せるようになってきているのかも。
やっぱり年寄りってすごい・・・年寄りから教わることは深い、と思いました。

子どもに戻っていくといっても、どこかたくましさを感じる母。
わたしに与える影響は、わたしがたくましくなっていけるような事ばかりです。
何十年という人生を歩いてきたという大先輩に、尊敬と感謝の気持ちがわきます。
いろんな気持ちを持ちながら、笑いながら、母との時間を過ごしていきたい。







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