楽しみ方いろいろ

『乱世少年』(著者シャオ・ユイシュエン 訳者石田稔)
という中国の文化大革命の時代を描いた児童文学の本を読みました。
児童文学というけれど、とても残虐な場面が度々描かれていて、
子ども(小中高校生)が読む本にしては、あまりにも衝撃的で切なすぎるところもありました(でもベストセラーなんだそう)。
中国人の知人に聞くと、
小説だからといって大袈裟にしたものでも何でもなく、
主人公の少年の目に映ったもの、経験したものそのままにその時代に起きていたことが描かれているということ。
日本の歴史で似ている時代を想像するとしたら、戦時中になるのだと思いますが、
自分たちも戦争を経験していない世代ですので、
戦争を知るというときに、たしかに残酷な事実を避けては伝わらないので、
こういう部分はとても大事なのかもしれません。

この本を読み終えたときに、ハッピーエンドではないけれど、
少年たちにとってこれからの未来がある、
大人たちにとっても生き抜くことそのものが希望になっていくんだと感じました。
小説自体は、登場人物のキャラクターを想像していくのが結構むずかしく(日本人ではないから)、
それゆえにすごくおもしろかったです(挿絵の版画がまたおもしろい)。
そう、残虐なことが起きるんだけど、非情なことが起きるんだけど、
そこに浸り続けるわけにはいかない、ということなのか。

以前読んだナチスを描いた『夜と霧』(著者ヴィクトール・フランクル 訳者池田香代子)もそうでしたが、
絶望の中には光は見えないけれど、
自分という人間の中にはいつも光は存在していて、
そしてそれは、見ようとして見えるものというよりも、
見えずして暗闇の中から感じとってしまうものが何かあるのかもしれないと思いました。

そういう時代に生まれてしまった人たちは(これも魂が自ら選んだのだと思うが)、
精神性を高めるためだけにこの世に生まれてきたとしか言いようがないような、
人生は修行という言葉がこれ以上ないほどあてはまるような、
生きる目的がすごくはっきりしているように思います。
人生の目的を知りたいと思う人はたくさんいると思うけれど、
精神性を高めるためだよと言われ、
ああそういうことかと、わかったから全てを受け入れられるかは別です。
自分だったらそんな過酷な時代に、どう生きていくんだろうか。

もしかしたら、もうすでにそんな時代も過去に生きてきたのかもしれませんが、
世界中の何百という国があって、その国には何千年?という歴史があって、
今、その中のたった一つの国の、ほんの少しの歴史に触れたというだけなのに、
どうして自分の魂はそこに、その歴史の一部分に触れようとしたんだろう・・・
と思うと不思議な感じがします。

この本の厚さは4.5cm・・・本というより箱に近い。
今までの読書とは違った本の読み方、楽しみ方ができたこともちょっとうれしい。
デジタル書籍も主流になってきたとはいえ、やっぱり紙で読む方が好きです。
ページをめくるときの紙の感触、
ぱらぱらページが風を送る感じ、
本をぱたんと閉じたときの音、
そして本棚におさまったときのなんとも言えない落ち着き感・・・。
持っている本は少ないのですが、どれも宝物です。

これからの季節はこたつに入りながら(雪降ってきた!)、
出会う本とどんな時間を過ごして、どんなことを感じていくのか次も楽しみです。




































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