審美眼

ずっと気になっていた茅ヶ崎美術館
8月に行ったときは時間がなく、建物の入り口までだったのですが、
今回はちょうど『小津安二郎の審美眼』が開期中で観てきました。

美術館にたどりつくまでの、
高砂緑地と呼ばれるお庭が、なんとも気持ちのいい場所となっています。
茅ヶ崎駅から海までの途中、このあたりに名前の通り砂地があったそうで、
足元の土には砂が混ざって名残がありました。

さて、小津安二郎監督の映画『東京物語』は観たことがありますが、
それ以外は何にも知らないので、
タイトルにある、審美眼ってなんだ??
と思って入りました・・・が、

なんと、なんと、
私にとってはちょっと感動的な出会いとなりました。
映画で使われたものが展示されていたのですが、
その味のある素晴らしいものたちに釘づけになります。
生活品や小道具、絵画など、そこに意味なくおいているものなど無いのです。
例えば、ちゃぶ台の上においてある湯吞一つとっても、
小津さんの民藝を愛するこだわりがつまっていて、
生活の中の美に、なんともいえない品を感じます。

この、ちょっとしか映らないものの色と形を映画の構図と合わせているんですね。
俳優の衣装も、役柄の性格に映えるものを考えたり、
それぞれの小道具に、物語の内容、
そのセリフにふさわしいものを随所にちりばめるというすごさ。

民藝館に展示されていてもおかしくないような逸品が、
さりげなく映画のワンシーンに起用され、
時にほっこり、時にきりっと締まるような感じがありました。

「芸術のことは自分に従う」
と言った監督の感性。
とてもよくわかるような気がします。

映画のワンシーンで映った、茅ヶ崎海岸のモノクロ写真もありました。
当時はまったく何もないただの砂浜で・・・
美術館の高砂緑地と景色がつながり、
今見えているもののうしろに、昔の自然豊かな茅ヶ崎を想像しました。
海岸まで続く道のりも、さぞかし美しかったんだろうなあ。

そう言えばよくカウンセリングの先生が、
そこに美しさがあるかどうかで話されていることがあります。
審美眼って、見た目的なものだけではないし、
あり方というところにも感じられるのかもしれません。
そういう感覚を何にでも持つことが、自分はとても安らぎを感じて好きです。

芸術を堪能したあとは~
館内の陽当たりのいいカフェでランチをしました。
野菜がびっくりするほどおいしく、盛り付けがとても美しかった。
お隣りの図書館にもよって(こちらも昭和のよき図書館です)、しばし読書タイムもできたし、
本当に充実の茅ヶ崎でした。
















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