実力をだすには



ある技能競技大会の審査員をしたときのことです。
私が担当したのは、参加者数名という小さい規模の種目でしたが、
それでも選手たちには緊張がみえました。
「良いところもちゃんと見ますので、ミスしても焦らず普段通りにやってくださいね!」
と少しでも実力を発揮してもらいたくて、そうお話しました。
話してすぐに、
それが一番むずかしいことなんだよね、と気づく・・・


はじめはギャラリー客もほとんどいなかったので、
適度に落ち着いた空気の中、順調に競技がすすんでいきました。
そこへ、競技中の選手を撮りたいという方たちがやってきます(写真はOKになっていた)。
少しギャラリーが増えたなあという印象でしたが、
その選手も大きな声であいさつをし、スタート。

そのあと、ギャラリーの変化には気づいていなかったのか、
顔をあげ、選手は自分の進む方向を見て、ハッとしてしまいます。
なんとまあ、さっきの何倍もの観客が集まっているではありませんか!!

観客のすぐそばを通るという場面では、とても緊張したのでしょう、
一回目はできていたことがまったくできなくなってしまい、
大きく減点になってしまいました。
その後もミスが続きます。

こんなにたくさんの人から見られるということは、
選手も予想していなかったのだと思います(私もびっくりした)。
大会なので、人がいてあたりまえなのですが、
普段の生活の中では、
そうそう無いことかもしれません。

実力は、普段通りならば出せるのでしょうが、
そうではなかったときは、もうだせない。
ということなんだろうかと思いました。

自分がたくさんの人から見られるというとき、
緊張が走り、心臓がばくばくして、
今やっていることにもう集中できなくなくなってしまいます。
そうなったときにこそ、チャンスです。
ここからどうやっていくのか?なのだと思いました。

自分を見失うという事態は、よ~~くわかるし、
それでもいいのかもしれません。
でも、競技としては、
ここから立て直していかなければならないです。

日常は、競技ではないけれど、
この感覚は必要かもしれないなあと感じました。
ピンチの場面でも、本来の自分に戻っていけるということを、
こういうときこそ勇気を使ってやってみる。
恥ずかしくて緊張して不安になってはいるけれど、大丈夫だと感じてみる。
まずは、いっぱい深呼吸をして。
ざわざわ揺れ動く自分から、すーっと、いつもそこにいる自分に戻っていけるかもしれないのです。

私もたくさんの人に見られるって、とても苦手です。
それはそれは、いろんなパターンが騒ぎまくります。

でも、きっとこういうときに、
本来の自分に戻っていけるということをつかめていけたら、
それはきっと、勇気を使えた!ということなんだと思います。






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