みんな年をとる
伊香保温泉の階段(365段!!) |
朝食会場はどこですか?
と、館内を迷っていたおじさんがいました。
私はすぐに、
あ、この人認知症なんだろうなあと思いました。
聞くと、毎年この温泉で同窓会を開いていて、
仲間に会えるのが本当に楽しい、と言っていました。
朝食会場まで一緒に行くと、
お仲間さんたちはみんな座って待っていました。
私もお盆片手に、どれにしようかな〜と、
バイキングのおかずを時間をかけてまわりました。
夫はその間、席を取って待っていましたが、
ずーっとさっきのおじさんを目で追いながら、気になって仕方ない様子。
バイキングの取り方をスタッフの方に何度も聞いていたり、
会話に入っていけないのか、一人黙って食べていたり・・・
といった諸々のことを観察しては、私に報告してきます。
私も以前は夫のようだったなあと思いました(いや、もっと気になって仕方なかった)。
そういう人を見かけると、父親の姿と重なるのです。
戸惑っていたり、寂しそうにしていたりすると、
居ても立っても居られませんでした。
ちょっとでもそういう人に優しくない人を見かけると、
文句を言ってやりたくなるほど腹が立ったりもしました。
でも、今は少し感じ方が変わっていることに気づきました。
困っていたら助けてあげようという気持ちは変わりませんが、
その人がかわいそうでたまらない!
という感じは、薄れているような気がします。
周囲の優しくない反応も、
優しくないわけではないのかもしれないし、
たぶん認知症のことがよくわからないんだろうなあと。
いろんな年の取り方があるのだと思います。
私自身が、認知症の人(その傾向がある人)や、
その人を取り巻く環境にもいろいろ事情があるということに、慣れた。
というのもあるかもしれません。
捉え方が変わると、
抱く感情も変わるのですね。
いつかは、同窓会に出られなくなる日もくるし、
楽しかった思い出も忘れていくかもしれません。
だけどそれが年を取っていく自然の姿なんだろうなあと。
ちょっぴり寂しけど・・・
こうして旅行に来れたことを今は楽しみたいと、しみじみ思いました。
帰りにそのおじさんは、
またしてもどこか迷っていたのか、時間を間違えたのか・・・
〇〇さーん、みんな待ってたよ!
と笑顔で迎えられていました。
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