惚れ直す

叔母が亡くなり、葬儀は家族だけでひっそり行ったと聞きました。
お線香をあげにいくと、叔父は何かとてもやつれていて寂しそうではあったけれど、
わたしたちが会いに来てくれたことをとても喜んでくれました。

夫の親族何人かへ連絡は入れたものの、来れなくて仕方ないこのご時世。
なのにやっぱり、わたしの予感は的中し、義弟だけはやって来ました岩手に・・・。
しかも朝の通勤途中で、居ても立ってもいられなくなったらしく、
そのまま会社へ行かずに新幹線に乗ったとのこと。
こういう突拍子もない行動は今にはじまったことではないのです。
さすがに若い頃は、もうなんて自分勝手なやつなんだと、突然泊まりに来られる方の身にもなってよ、
と大迷惑をしておりました。
でも今回は、わたしのパターンはあまり騒ぎませんでした。

むしろ、一人残された叔父のことを心配したのだろうなあって、
わたしの知らない歴史の中で、弟は叔父をずっと慕っていたのだなあと思いました。
しかし半分は、「なんか今日会社に行きたくなかったし~」って言うところも正直。
そう、自分の気持ちに正直に生きているだけなんだと、自分と結構似ているのかもしれないなと思いました。
何よりも、亡くなった叔母がこうしてお前たちと会えるようにしてくれたんだと叔父が言ってくれたので、
何年ぶりかで昔話ができたこと、弟のおかげで叶って良かったです。

叔母はいつも元気で華やかで、そして美人でした。
治療を受けずホスピスの道を選び、最期まで明るく気丈にふるまっていたそうです。

「本当にあいつはすごかったよ。惚れ直したよ」

叔父の言葉に、一同びっくり・・・。
50年以上連れ添った妻に対して、こんなことを言える夫って、すごくないですか?!
こんなに長く一緒に生きてきて、なおも惚れ直した、っていうことがあるんだと、
わたしたちはもう衝撃を受けました(そして、大爆笑)。
妻にとっては、最高の言葉ではないでしょうか。

このような夫婦のあり方に、まだまだわたしたちは青く、ほど遠く・・・
死にざまで生きざまがわかるとはこのこと。
叔父夫婦に教えてもらったような気がします。

たくさん笑って満足そうに帰っていった弟を見送って、
みんなそれぞれの場所で、家族元気に幸せに暮らしてほしいなあと願いました。









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