魂のピアニスト



フジコ・ヘミングさんのピアノコンサートに行ってきました。
今年91歳になるそうです。
TVで見たときは杖を使って歩いていましたが、
今は歩行器を使っているのですね。
ゆっくり手で押しながら、舞台のそでから登場です。

その姿は、年相応の姿といえばそうなのですが、
ピアノを弾きはじめると一変。
すべてを包み込むような優しさと強さと、
柔らかで美しい音が、私の心をなぐさめてくれます。
最後の曲『ラ・カンパネラ』は、フジコさんそのもの。
なんと表現したらいいのかわかりませんが、
ピアノとフジコさんが一つになっているかのようでした。

衣装も、今回とても楽しみにしていたことの一つ。
前半は、真っ白いレースが施されたウエディングドレスのような服をまとい、
それが、ふわふわした金髪の髪の毛と合っていて、とても素敵でした。
後半は、日本の色、深緑、茜色、山吹色が大胆に模様された着物。
よく見ると袖口を銀色の生地で縫い直し、着物だけどモダンでかっこいい。

念願叶ってのはじめてのコンサート。
この日を本当に楽しみにしていました。
今のフジコさんにしか弾けない音があり、
その音を、今の自分が聞けたということが奇跡だと思いました。

最近、日記にやたらと、
『魂』という言葉を登場させてましたが、
コンサートはまさに、その『魂』に触れるような時間でした。
音が体中をかけめぐり、
自然に涙があふれ、
悲しさとはかなさと、懐かしさでいっぱいになりました。
もっともっと聞いていたい・・・とても名残り惜しい時間でした。

音楽で、心をケアすることができます。
傷ついた心、疲れた心、悲しむ心、不安でいっぱいの心に、
言葉はいらず・・・
音楽はやさしいですね。

ショパンが大好きなフジコさんは、
あるドキュメンタリー番組で、
「ショパンの悲しみが私にはわかる」と言っていました。
私は、音楽室に飾られたショパンの顔と、
この曲、ショパンが作曲したんだ!と最近やっと知ったくらいの、
本当に無知な人間です。
そんな自分でも、
フジコさんの、ショパンの悲しみがわかる・・・と言った言葉が、
とても美しく尊いものだと感じました。

私も、少しでも人の悲しみが想像できる人間になっていきたい。



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