これからも一緒に

ベランダから見た花火

夫が日曜大工をしていました。
木でできた2階のべランダが、ここ数年手入れを怠っていたので、
かなりボロボロに塗料もはがれ、カビの黒さも目立ち、
なんとも残念な感じの古家になっていました。

家を建てたばかりのころは、
かなり熱心に手入れもし、掃除もゆきとどき、
設計士さんからも、こんなに家を大事にしてくれていて、うれしいな。
とよく言われたものでした。

でも、年月が経ち、
動くのもおっくうになってきた年齢に入り、
そして、何よりもその設計士さんが亡くなってからは、
私たちも家のことを相談する人がいなくなり、
気になる箇所があってもそのままで暮らしていたのでした。

ベランダは、グラインダーで表面を削り、
そのあとキシラデコール塗装します。
私は、夫がやることのお手伝いをしたいという気持ちはあるのですが、
大体が、じゃまになるだけだとわかっていますので、
本当に手が欲しいと言われるまで、そばで待機。

そばにいても、やっぱり何かとじゃましていることが多く、
何度も怒られたり、注意されたりしてしまいます。
それでも終わってみると、一緒に完成させたという達成感がありました。
(ハシゴを支えるくらいしか、やってないけど)

そして、夫から言われたのは、
「何にも役には立っていないけど、居れば気持ちが和むな~」
ハシゴに乗るので、危ない作業でもありましたので、
この緊張感のあいまに、夫が和むことができてよかったと思いました。
どんなかたちでも、役に立つというのは、
自分が嬉しいというより、相手にとってよかった、です。
この感覚久しぶりに味わいました。

設計士さんとお別れしてから、
私たち夫婦は、心に大きな穴があいたように、
一時は悲しくて寂しくて、本当に大切な人を失ってしまったんだと思いました。
でも、こうして、また家を大事にすることで、
心の中で、会話が生まれ、
設計士さんも「お~、がんばったね」と言ってくれている感じがします。

そうやって、亡くなった人とも生きているかのように会話をしながら、
その人が残してくれたものと、
これからも生活していくんだなあと思います。
なんでも言い合ったし、笑いこけたし、たくさんケンカもした。
また家のことで悩んだら、文句を言っていくんだと思います。





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