なんとかやっていける



母の歯医者さんに行く日を、すっかり忘れていて、
他の用事を入れてしまいました。

どうしよう・・・
でもな・・・
もしかしたら、母も一人で行けるんじゃないだろうか?
と、頭をよぎります。

その歯医者さんは、今回で3回目でしたので、
場所も完全に覚えているところだし、
なんとかなるんじゃない?
という言葉が、こだまします。
すると、母から電話がかかってきてー
「今日ね、歯医者だけど、一人で行ってくるからね」
テレパシーが通じました!

でも、電話を切ったあとに、
本当に一人で大丈夫か?と、
うまくいかなかったときのことを、あれこれ考え始めます。

たぶん、補聴器は忘れて付けないだろうから、
話が通じないだろうなとか。
イスから降りるとき、この前はふらついて危なかったなとか。
帰り道、疲れて転んで骨折したらどうしようとか。
一瞬にして、心配事が押し寄せてきます。

でも、今は私のできることをしていこう。
歯医者さんへ連絡を入れ、
いろいろお願いしたいこと、注意してほしいことを伝えました。

用事を終えて実家によると、
「あら、どうしたの?」
と、いつもの笑顔がありました。
歯医者さんは全然痛くなかったようで、
とにかく無事一人で行って帰ってこれて、ほっとしました。

自分が約束を忘れていたことで、
それが原因で母に何かあったらどうしよう。
以前の自分ならば、それだけは避けたいと思っていたと思います。
だから、そうならないために、
母とのことを優先して動くことが多かったのです。

自分のせいで、母に何かあったら、
後悔してもしきれない。
もう自分は生きていけないって思うほど、
それは怖いこと、あってはならないことだったと思います。

その恐怖心や、脅迫じみた感情は、どこから来るのか?

自分を守りたい。
自分を苦しめるものから逃れたい。
その一心だったと思います。
母のために・・・ではなく、自分のため・・・だった。

自分を支配していたものの正体がわかり始めると、
自分がなんとかさせようとするものではない。
母の人生は、母にお任せしようと思うようになりました。

それでも、不安になるときもあるし、
いろいろ大変なこともたくさんある。
でも、そういう自分とも一緒にいられるようになった気がするし、
なんとかやっていけるという経験の方が増えてきたように感じます。

母が根気よく、
そう経験を私にさせてくれているからだと思いました。





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